Executive Interview ADKグループ各社 社長インタビュー

NO.01

業界の慣習に捕らわれない
新しい考え方で、新しいADKへ。

大山俊哉
大山俊哉
Name.
大山俊哉
Position.
ADKホールディングス代表取締役社長
グループCEO 兼
ADKマーケティング・ソリューションズ 
代表取締役社長

1984年電通入社。2014年に同社執行役員に就任し、デジタルマーケティング、インターネットメディア、データソリューション、プロモーション領域の責任者としてビジネスモデルを改革。2016年に電通デジタルを設立し、初代代表取締役CEOに就任。2019年ADK入社。ADKホールディングス執行役員、グループCDO(チーフ・デジタル・オフィサー)、上記に加え、2020年ADKマーケティング・ソリューションズ取締役社長補佐、デジタルビジネス統括を兼任し、2022年ADKホールディングス代表取締役社長 グループCEO 兼 ADKマーケティング・ソリューションズ代表取締役社長に就任。

“自走する組織”へ
移行しつつある>>>>>>>

ADKに移籍されてからの
3年間を振り返って、
どのように感じますか。

大山俊哉

最近になって“ADKが変わっていく”手応えを感じています。ADKに来るまでにも、電通デジタルの社長やいくつかの会社の社外取締役などを経験し、経営をやらせてもらってきました。電通社内のデジタル変革なども経験しましたが、うまく行く時はわかるんです。取り組み始めて3年ほど経つと“いけるかどうか”がはっきり見えてきます。今はADKが良い方向に変わっていく確信を得たところです。

なにが変わりつつあるかというと、従来の固定化した業界慣習から脱却し、会社としてのカテゴリー自体が変わっていきつつあります。かつてNTTからdocomoが、イトーヨーカドーからセブンイレブンが出てきた時のように、これからADKはマス中心型の広告会社から顧客体験価値を最大化していく方向に進んでいきます。クライアントやその顧客のニーズを考えたら当たり前のことですが、広告業界は長年の秀逸なマスメディアビジネスモデルに依拠してきたため、その変化のスピードが遅いと思います。また、社風も “自走する組織”へと変化しつつあります。ADKはテクノロジーだけの会社ではないので、会社の文化が根底から変わろうとしている現象は、社員一人ひとりの考え方が大きく変わった現れだと言えるでしょう。おそらく同質な考え方の人だけでは、ここまでの劇的な変化は起きませんでした。ここ数年でADKグループにプロフェッショナル採用の方を含め、多様な人材が集まり、そして活躍していることが組織に良い影響を与えているのだと思います。

組織が持つ習慣や常識の中には、続けたほうが強みになるものもあれば、変えた方がプラスになるものもあります。それは外から来た人が「ここを直したら良くなる」と言うことで改善していけます。多様な人材が活躍するためには、受け入れ組織側の風土も重要です。凝り固まった文化や画一的で均一の体質の企業に新しい人材を組み込むことは難しい。日本の企業には終身雇用・年功序列が前提で、新卒採用でない社員が全社員の1割にも満たない会社もありますが、幸いなことにADKには元々、多様な人種を受け容れながら発展を遂げた合衆国のような雰囲気がありました。もちろん、多様な人種が集まれば意見の相違も生まれ摩擦も生まれます。しかし意見を戦わせることは重要で、ADKはそれが適切にできる会社だと感じています。

大山俊哉

マーケティング業界における
独特のポジションを獲得>>>>>

ADKマーケティング・
ソリューションズの
新社長
として、今後どのように
舵を取っていくつもり
でしょうか。

大山俊哉

「顧客のマネジメント」「顧客体験」、そして「顧客接点」の3点にフォーカスして事業を進めていきます。クライアントにはデータを基本とした顧客マネジメントと顧客体験を、様々な子会社に頼らず「ワンルーフ」で提供します。ADK全体でこの領域を強化し、競合他社との差別化を進め、独自のポジションを築いていこうと考えています。

具体的な取り組みでいうと、弊社は顧客マネジメント領域における事業会社などでの経験豊富な社員の構成比が高く、顧客接点ではオンライン/オフラインの統合プラニングが競合他社よりも進んでいます。また、先ほども述べたワンルーフ構想を掲げており、顧客体験にまつわる営業も戦略もデジタルもクリエイティブも、ひとつの屋根の下、ADKマーケティング・ソリューション一社に集まっています。他社ではオンライン/オフラインで組織が分かれていることが多いですが、ワンルーフ型の弊社ではオンオフ統合のメディアプランニングが的確に進められ、将来的にはメディアバイイングまで一緒にやれると思っています。競合他社よりも先にメディア各社に働きかけて、今後のADKの価値を上げていきたいですね。

この確信の根拠は、この3年で目の当たりにしたADKに在籍するメンバーの力です。僕も自信を持ったし、恐らく社員の皆さんもこの3年で自信を持てたのではないかと思います。少し脱線してしまいますが、社長就任時のスピーチで最初に言ったのは、「僕の最重要の目標は社員と社員の家族の幸せと、健康、それに成長です。」という内容でした。綺麗事のように聴こえるかもしれませんが、僕は会社という組織で一緒にやっていくということは、そういうものだといろいろ経験して確信しました。社員の人生を豊かにするために会社は存在するし、それができない会社であれば存在する必要もないと思います。だからそこは最重要課題でやろうと思います。ただ、当然ながら適切な利益が出なければ会社は成り立たないし、社員も豊かにできないし、士気も上がりません。

そういえば「ちゃんと話す」というのも心がけています。新体制や僕の初心を伝える説明会では、「意見はそれぞれ違っていて当たり前なので、皆さんの意見を必ず伝えてください。そこから皆で議論して何が正しいかを決めていきましょう」と社員にお願いしつつ、「だから僕は皆さんの話を聞くために、基本、全社員と対話をします」と約束しました。これから約80回に渡って、全員と直接会って話す予定です。

大山俊哉

「成長するなら勉強しろ」という
会社に>>>>>

ご自身の“才能”は
何だと思いますか。

業界の慣習に捕らわれず、新しい考え方を導入して成長させるのが得意だと思います。僕は広告業界のキャリアとしては比較的マイナーな領域をやってきました。電通時代も当時メジャーだった新聞やテレビは経験していません。そこでマイナー領域だからできることと言いますか、業界で初めて成果連動型のラジオスポットを設計して、局にも会社にもクライアントにも成果を出したり、ラジオの聴取率調査の基準を初めて統一したり、OOHの指定代理店制度を変えたりと、色々とやることができました。ここで身につけた姿勢が、経営する立場になったときに「旧来の仕組みやモデルを守るだけが戦い方じゃない」と思わせてくれた気がします。当時、電通でなかなかうまく行かなかったデジタル領域を任されたのもこのスタンスが関係していたと思います。

あとは、いろんなことに興味や関心を持ちやすく、一度始めてしまったらトコトンやらないと気が済まない性格です。大学時代に始めた競技ヨットは今も現役で、社会人で全日本優勝して、世界選手権でも10位に入りました。登山も50歳から始めて百名山中71座まで制覇しています。正直、週休2日だと足りないなと思います。(笑)あとは、前職で海外の会社の買収に関わり、必要に駆られて英会話の勉強を始めた時も、セブ島の英語合宿に行ってTOEICのスコアを伸ばしたり、最近はペン習字を始めたりと、興味関心の範囲が広いんです。

どのような人材に
入社して欲しいですか。

大山俊哉

まずは先ほど説明した3つ。データを使った「顧客マネジメント」、「顧客体験」、および「顧客接点」に強い人材を求めます。募集人材のタイトルは違えど、基本的にはこの3つに集約されると思います。その中で多様な経験がある人が望ましいですね。同業種で優秀な人材も欲しいですが、他業種や事業会社での優秀な方はもっと欲しい。実際、前職でアパレルのEC責任者をしていて、会員数を300万人にした実績を持つ方に来ていただきましたが、おかげで弊社が掲げる顧客体験の戦略も進化しました。この3つでいうと、人より高い経験をしている方や、人と違う経験をしている方を特に求めています。

また、最近のADKは「デジタル」をキーワードに、様々な人材が集まってきます。広告から離れた業界から入社される方も増えました。例えばある銀行出身者の方。彼は前職でデジタル人材として採用されたようですが、そこでは自分の力を発揮できないと感じてADKに来てくれたそうです。こんな方も大歓迎です。

吸引力や磁力のある組織ほど強いものです。多様な人材がいるというのは、その吸引力の現れです。現在は新卒採用のプロパーの方とプロフェッショナル採用の方が絶妙にミックスされ、各々にとっての活躍の場が広がっているように感じています。

大山俊哉

才能のある人材を集めて、
どう活かしていくの
でしょうか。

理想は自走していく組織ですが、すぐに実現することは難しいだろうと思っています。なので、まずはある程度のコントロール下で自由に仕事をし、活躍してもらうことを目指しています。最初のうちは、もちろん不満や不安を感じる人もいるでしょう。実際に僕も50歳後半にして、緊張感を持ってADKに来たので身に染みてわかります。だから、話を聞いてしっかりケアしようと。まずはそれぞれのチームのトップが聞く姿勢を示すことが重要ですし、最終的には僕が相談に乗ります。最後の安全保障みたいなものです。しかしまずは先に上司と話してもらう。しっかり議論を交わしたうえで、それぞれが活躍できる場を考えていきたいです。

異色の経歴をお持ちの
大山さんだから、
様々な業界から集まってくる
人材に
対する気持ちや、
シナジーの起こし方を
理解
されているのでしょうか。

もちろん、外から入って来ていただいた方にとって、良いところも悪いところもあります。ただ、なるべく不安を解消してあげたいし、入って来た人が“良かったな”と思える環境は作りたいですね。とはいえ、決してあまい職場ではないので、それを理解した自信のある人に来てもらいたい。なのでプロフェッショナル採用で来ていただく社員は、アメリカへの移民と同じ環境や気持ちではないでしょうか?異国での新生活にはもちろん困難が予想されますが、ひょっとしたら個人の成長や成功が手に入るのではないかと前向きな人たちが集まってくる。ただし、ぬるま湯ではない。そんな場所だと思ってもらえたら。

今の日本の企業は働き方を「ゆるく」しているだけで、成長のための厳しさも忘れてしまった気がします。単に「ゆるい」会社で、本当に社員は成長するでしょうか?私は“ゆるくて冷たい会社”にはしたくないし、そんな会社や社員は絶対に成長しません。単純に残業時間を減らすだけとか、面倒見も家族的な意識もなくすとか。色々な会社を見ているので、うまくいっていない会社もいくつも知っています。どちらかといえば、厳しいけれど温かい会社。でも仕事も厳しい、自分の能力開発も厳しくやる、「成長するなら勉強しろ」という会社のほうが、個人も会社も伸びます。でも最後は、温かい会社というのが僕にとって理想の会社なんです。厳しいけれども、チャンスはたくさんお渡しするつもりです。そういった環境であることを理解し、挑戦してくださる方を歓迎します。